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河童のクゥと夏休みのmitakosamaのレビュー・感想・評価

河童のクゥと夏休み(2007年製作の映画)
4.0
原恵一はもう「クレヨンしんちゃんの〜」という肩書きを脱却させたい。そのためにはこういう良質な作品がヒットしないとダメなんだよなぁ。もっと多くの人に見てもらいたいよ。

この映画は昨今の日本のアニメに対するカウンターカルチャーの色合いがとても強い。
とにかく目が異様にデカくて、ピンクや緑の髪の毛じゃないキャラクターを。甲高い声で変な節回しで言わない声優を。しっかりと地に足のついた人物描写と演出を。とオタクのためのオタクなアニメじゃない、アニメーション。
確かにアニメ特有な変な表現だけだと、ガラパゴス化してアニメの表現が尻つぼみになるもんね。

ユンカースカムヒア、ももへの手紙、虹色ほたるなどが同じビジョンで作られた作品だね。

カッパの子供の化石?を手に入れた少年が水で戻してクゥを復活させる。
で、クゥが家族に受け入れられる。

少年がクゥを連れて遠野に行くんだわ。河童といえば遠野。僕も遠野に一人旅行したことあるからチョット思い出深いわ。
その後クゥの存在が世間にバレテレビやマスコミに追われたりする。

人物描写がリアルなので子供の生々しい所が多い。同級生の絡みがイジメっぽい残酷さがあるとか、すごいリアリスティック。

あと犬が轢かれて死んじゃうし、クゥが勢いでカラスを爆死させちゃう。ファミリー向け映画だけど、そういう点でも生々しい描写もある。

登場人物の良さと、人間社会の醜さも表裏一体で表現されてる。そういうのが積み重なってのラストは本当にグッと来る。
沖縄のキジムナーにガレッジゴリは完璧な配役でしたな。

良質なファミリー向けアニメーション映画だが、丁寧な芝居で2時間越えなので、長いという印象は確かにある。
でも知り合いの子供は飽きずに見たて聞いて嬉しかったな。
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