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まるのhirokiのネタバレレビュー・内容・結末

まる(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

芸術家のもとでアシスタントの仕事をしていた澤田は、ある日事故に遭って商売道具の腕を骨折してしまう。使い捨てのように職場をクビになった澤田は、偶然自宅の床に歩いていた蟻を囲う丸を描いた。売れるはずもない丸を質屋に出したことで、澤田の人生が大きく変わり始める。

不気味な作品だった。適当に描いただけの丸が自分の知らないところで世間から称賛され価値が膨れ上がっていく。見て見ぬ振りもできないけど、簡単にその状況を受け入れることもできない。澤田の葛藤は当然だろうと感じた。

もし、自分に同じようなことが起こったとしても、きっと受け入れないだろうなと思う。自分が本気で作ったものや、情熱を注いだものが評価されるのは嬉しいことだけど、何もしていないのに過大な評価をされても、それが本当だとは思えない。売れればいい、認められればいい、お金が手に入ればいい。そうすれば必ず幸せになれる。人の心ってそんな単純にできていないんだということが、この映画を通してリアルに感じることができた。

自分がやった分しか人からもらうことはできない。むしろ、やった分ももらえないのが普通なんだと思う。だからこそ、与えられるものに驕りを持ってはいけないし、常にありがたいという気持ちを持つことが大事なんだと思う。まず目の前のことを一生懸命やって、少しでもその努力によって、もらえるものがあったら嬉しいなって思うくらいで生きていけたらいいんだと思う。
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