交通量の多い通りを信号など無視して渡り、くたびれたホテルの一室へ向かう。
倉庫として使っている狭い部屋の棚の中からある物を回収するために。
時間はおそらく巻き戻り、月曜日。
フランク(キム・ボドゥニア)は相棒のトニー(マッツ・ミケルセン)とふたり、ハイテンションで商売相手の元へ向かう。
ごねた相手を脅して、取引を優位に終わらせ、巨大なゴリラのぬいぐるみを買って娼婦ヴィク(ローラ・ドライスベイク)の元へ。
薬をヴィクの家に隠し、彼女の犬を撫でて、トニーと再び車に乗り込む。
「続いてるのか?」「やってはいる」「彼女じゃないのか?」「娼婦が女なんてごめんだ」
猥談に夕食、最後はバーでトニーと飲んだくれて、また朝がくる。
多分これがフランクにとって一番マシだった日。
このあと彼はうっかりヘマをやらかして、日を追うごとに転落していく。
フランクは裏切られ、見捨てられ、殺されかけ、またさらに裏切られます。
不幸の連鎖を繋ぐのは、お金と、恐らくは彼自身の性質だ。
パッパラパーで生きるのには、代償がつきまとう。
でも、フランクの悪足掻きを見る限り、死んでもいいなんて思って生きていない。
物語に出てくる誰も、死にたくなんてないのだ。
そんな生き方していたら、破滅したがってるようにしか見えないよという感じなのだけれど。
考えないで生きることは怖い。
自分が社会の流れのどこに位置しているのか。
考えずにいると、破滅に片足を突っ込んでいても、きっと気づかないのだろうな……。
フランクのように。
私も全然考えていないな。
本作のマッツが演じるトニー、おバカで憎めなくて、紳士で悪役なマッツとはまた別の味がありました。
2はトニーが主役らしいけれど、どう考えてもグズグズになっていくストーリーだろうから、見るのに勇気がいります……。
ほどほどの感情移入で。
(でもマッツって映画の中での死亡率、これまでも結構高いのだった……!)