掴みどころの難しい作品ではあるのだが。
こんなふうに行方不明になっていた絵画が発見され、真贋の見極め、そしていくらの価値と値がつけられていくのか、その過程自体にすごく興味が湧く。
また、エゴン・シーレの「ひまわり」という1つのアート作品を真ん中に、人それぞれのアートへの価値の置き方の違いが浮き彫りになるのも面白い。
元々、持っていた工員のマルタンにとっては、もらった絵にすぎず、それがナチスに関わる盗品的な扱いのものであれば持っているのが気味悪かったり、自分の身の程から離れたお金に関わることである種トラブルの元にもなりかねないものであったりする。一方、元々の持ち主の子孫にとっては、親にとっての想いの深いものであってもその価値についてはある種周りの言いなりの部分もある。
そして、オークショニアのアンドレにとっては、素晴らしいものでありアートとしてきちんと評価されてほしいと思っている。
また、一方で詐欺まがいの手で儲ける道具と捉え弁護士たちもいる。
アンドレは、不遜ではあるけれど自分の仕事に誇りを持って臨む姿はかっこいい。そして、元妻にして仕事のパートナーのベルティナもかっこいい。もとは夫婦でも、こんな関係性を繋いていけるっていいなとなんとなく思ってしまう。
オロール存在はなんか不思議。何が本当で何が嘘か、彼女自身が何に苛立っていて、何を求めているのかあまり見えてこないが、キーマンではある。
マルタンの自分の生活に対する地に足のついた誠実さに、すごく好感が持てる。