《森田監督のおもちゃ箱》
森田芳光監督、薬師丸ひろ子、野村宏伸出演。森田芳光監督の「ときめきに死す」に魅せられてから今作が4作目になるのだが、相変わらずの森田芳光監督節というか、普通の映画では絶対にないようなテンポがずれた感じ、外した笑いのあるラブストーリーだった。
映画の内容的には相変わらず、とても不思議だと思う。例えば薬師丸ひろ子演じる幼稚園教師、小笠原しぶきが初めて海岸でマジシャンと出会うシーンや、しぶきが沖縄の姉の家を尋ねるシーンなど、普通の映画では絶対にやらないような表現が多くある。森田監督のおもちゃ箱のような作品だと書いてあるサイトがあったが、確かにその表現に納得。劇中で台詞と映像があっていなかったり、時折急に挟まれるカット等、とても変わった面白いものがつめ込まれている作品だった。
確かに雑多に見え、映画としての完成度としては決して高くはない作品だが、その散らかり具合というのがこの映画の魅力でもある。もう少しで駄作となってしまうような、とても危うさをもっていながら、綱渡りで観せてしまうというのも森田監督の恐ろしい才能だと思った。妙なクセのある作品だと思う。