《本年度眠気を誘う映画第一位》なのに合計5分も寝ていない(はず)の自分を褒めたい。女性に自由のない時代の悲しい物語ではあったけど、すごく距離を感じる映画であんまり入り込めなかった。原作小説を抜粋したのであろう語りが合間に何度も挟まれるのだけど(ナレーター:監督)、内容は興味深いのに全然頭に入って来ず、それがさらに眠気を誘うので座学を聞いてるみたいだった。以下、朦朧とした雑感。
・徹底した鏡越しの構図が見事。扉が開いて初めて「あ、それも鏡だったの?」とわかるくらい凡ゆる場面に出てくるのでもはや『鏡の国のエフィ』だった。
・ポスターにもなっている海辺のシーンが美しい。このベールがついてる帽子を被るのが子供の頃からの夢だけど、現代日本の庶民生活ではいつ被ればよいのか全然わからない。
・「不貞そのものについては罪を感じられない。ただ嘘を吐き続けている恥だけがある(要約)」みたいなモノローグにドキッとした。私も同じ状況になったら似た感覚になる気がした。
・エフィが椅子?に上半身を預けて懺悔するところが、ほぼ唯一の感情を爆発させるシーンなんだけど、構図がまるで斬首台のように見えて悲痛さが際立っていた。
・娘時代の自由の象徴だったブランコ越しに、まるで何事もなかったかのようにお茶を飲む両親、というラストシーンの虚無感といったらない。
・ファスビンダーさんは色んな作風で映画を撮った人なんだなぁということがわかりました。