ツクヨミ

HERE 時を越えてのツクヨミのレビュー・感想・評価

HERE 時を越えて(2024年製作の映画)
2.5
設定と映画技法が面白いだけで中身は普遍なファミリードラマ。
わりと実験的っぽいロバートゼメキスの最新作がやってたので見に行ってみた。
まず本作はアメリカの片田舎の一軒家にカメラを置いて定点カメラで多様な時系列をクロスカッティングさせて描いていく実験作、"バックトュザフューチャー"を撮ったロバートゼメキスらしいSFっぽさが顔を出して微笑ましい。
言うなればグリフィス"イントレランス"的な作品のファミリードラマ版ということだが、映画技法のオンパレードなのの対象的に中身が普遍的でつまらない感じは"戦艦ポチョムキン"とかのエイゼンシュタインみたい。それぐらい技法をこらした作品というのは良いけど、キューブリックの言葉を借りれば"形が全てで中身が無い"と言われてもしょうがない諸刃の剣だ。
クロスカッティングとマッチカットの応酬というのを手放しで評価したいところだが、クロスカッティングの使い方が技法の範疇であまりよろしくない。本来クロスカッティングは映像と映像を繋げた時に相互作用的な意味を齎すものなんだけど、全然盛り上がらないどころか全体的にトーンが一辺倒なのが問題だろうか。その点ノーランとかが現代でいかにクロスカッティングをうまいこと使えていることか…
内容的には結局コッポラ"ゴッドファーザーpartⅡ"と"partⅢ"のミックスみたいなファミリードラマの複雑をやりたい感じはわかる、でもやっぱり既視感に繋がるしなんとも微妙。映像的な面白さはあれど、やっぱり古典的な手法をミックスさせただけに見えてしまう。
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