ツクヨミ

俺たちに明日はないのツクヨミのレビュー・感想・評価

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
4.4
窃盗と殺人を繰り返し暴れ回る二人組を追ったアメリカンニューシネマの象徴がカッコ良すぎる。
近々テレンスマリック"バッドランズ"が見たいので、予習としてこちらを選んでみた。
まず本作はアメリカに実在した犯罪者カップルのボニー&クライドを描いた作品でありつつ、アメリカ映画史的にはヘイズコードが撤廃されアメリカンニューシネマが隆盛した金字塔的作品だそうな。
ストーリーラインは殺人と窃盗を繰り返すカップルが警察に追われながら度々銃撃戦を繰り返す犯罪映画で、そういった犯罪映画としてオーソドックスな部分のかっこいいところだけを抽出した映像の連続。ていうかゴダール"勝手にしやがれ"と"気狂いピエロ"を激しくクールにやったみたいな感じがやっぱり見どころな気もする。
かといってアクション映画というわけでもなく、あくまでも犯罪バイオレンス劇であり実はエンタメを廃した絶妙なリアリティラインな心理描写とかも素晴らしい後半。なりふり構わず暴れ回り遊びまくる彼らだけど、やはり不安は誰にでも忍び寄ってくるんだなと。
だがしかし結局は全力で自由を謳歌して走り切った彼らの姿が逆にかっこいいラストよ、人間臭くてだらしがない"勝手にしやがれ"とは違いあくまでもスクリーンの中で輝き続けて終わる感じがたまらなく心に残る。まあ"勝手にしやがれ"はあんなだから大好きなので、それとある意味対極な本作の立ち位置として良いよねという話。
それとテクニカラーのビジュアルが実は素晴らしくかっこいいし、ファムファタールなフェイダナウェイが最高にキマってる外面も忘れちゃいけない。ヘイズコードから解放されたアメリカンニューシネマの幕開けがこんなに過激でカッコいいの奇跡かと思うぐらい。
ツクヨミ

ツクヨミ