【ニキ・ド・サンファルが射撃絵画を作るまで】
第77回カンヌ国際映画祭ある視点部門で俳優のセリーヌ・サレット長編デビュー作『NIKI』が出品された。本作はニキ・ド・サンファルの半生を描いた伝記映画となっている。ニキ・ド・サンファルといえば、丸みの帯びた色彩豊かな彫刻のイメージが強いが、本作は彼女のもう一つの代表作である射撃絵画を作るまでの過程に力点が置かれていた。
物語は1950年代、彼女がモデルをしていた頃から始まる。幼少期のニキ・ド・サンファルにとって人間関係に問題を抱えており、それを象徴するようにスプリットスクリーンが使われ、ぎこちなさが表現される。彼女はパニック発作を抱えるようになり精神病院のようなところに入れられる惨事となる。これがナイフを投げて創作する伏線へと繋がっているといえる。
正直、スプリットスクリーンの使い方は安易であり手数が少ないのだが、スプリットスクリーンがシームレスに結合していく演出は興味深いものがあった。