ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞監督による『エマニュエル夫人』のリメイクです。
日本では凄まじい成功をおさめたオリジナル版ですが、あの時代の抑圧と現在の抑圧はやはり全く違う描かれ方をします。
オリジナル版をなぞっているようで前提条件が全然違うといいますか、フランスから香港のリゾートホテルの査察を行うかなり成功した女性としてエマニュエルは登場します。
香港でエキゾチックな日々を過ごせるのかと思いきや、ホテルからは一歩も出れない、ある種ブニュエル監督作品的な縛りを受けているわけです。
そうなると、自然とホテルの中で自律した生活をしつつ、『ロスト・イン・トランスレーション』に陥ることもなく、自分自身の性を追求しだします。
孤独や社会との葛藤といったものが、成功者からの視点になっているため、自分自身を解放するものと出会えるか否か、といったところにテーマは集約されていく印象ですね。