ジャクト

CURE キュアのジャクトのレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
5.0
紛うことなき大傑作。役所広司も萩原聖人もハマりすぎていて怖い。質問には質問で返し、自らを探ろうとする言葉には徹底的に答えることがない間宮(萩原聖人)。そんな彼と接していくうちに登場人物たちはペルソナを剥がされ、意識していなかったはずの闇を引きずりだされていく……。その過程がおそろしく、同時に脚本や演出としてたまらなく上質だった。

間宮は殺人衝動を植えつけているわけではなく、人物たちの抑圧された悪感情を引き出しているだけにすぎない。間宮の毒牙にかかった人々は、表向きには普通に生きている善良なはずの人間でありながらも、内面には理性などで押さえつけている怒りや憎悪があり、間宮は心理学的な手法でそれらを解放させていく。殺人行為の元となった感情自体は、人物たちが内包していたものである。そこにリアリティがあり、作品に怖さが感じられる所以だった。

色々と考察がはかどりそうな本作。もう一度見返したい。
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