ジャクト

パーマネント野ばらのジャクトのレビュー・感想・評価

パーマネント野ばら(2010年製作の映画)
4.1
海辺の田舎の町にある美容院、パーマネント野ばら。町に住む女性たちが集い、ざっくばらんに語り合う場と化しているこの美容院に、娘のなおこが離婚して子供を連れて戻ってきていた。日々を過ごしながら、地元に住む友人と旧交を温めるなおこ。その友人たちに共通しているのは男運の悪さで、金をせびられ、時に暴力を振るわれながら友人たちは人を代えつつ男との交際を続けていた。そんななか、なおこは高校教師のカシマと恋人として仲睦まじく付き合っていたのだが……というストーリー。

主人公のなおこを演じる菅野美穂の演技がいい。時に子供の前では親としての顔を見せ、時に恋人のカシマの前では少女にも見えるような天真爛漫な表情を浮かべる、そのギャップが非常に魅力的だった。なおこの友人を演じる小池栄子や池脇千鶴もさすがの演技を見せており、実力派によって作品にリアリティと深みが生まれていたように思う。

物語終盤には意外な事実が明かされるのだが、その展開をより切なくしているのは田舎の町の雰囲気、そこに住む身近な人々の造形の上手さだと感じた。あけすけに下ネタを語り、笑い合う海辺の町の女性たち。男に騙されながらも強く日々を生きる人情味のある友人。その人々たちの存在感が、なおこに向けられていた優しさを際立たせていたように思った。良い映画でした。
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