popopopopo

ブルータリストのpopopopopoのレビュー・感想・評価

ブルータリスト(2024年製作の映画)
4.0
アカデミー賞の最有力候補と聞いて鑑賞
でも、この時期に連続公開されるアカデミー賞ノミネート作品って、大体全て最有力候補と書かれてる気が、、、
まあいいか

3時間半近くある映画で、気合を入れて見に行ったけど、時間を忘れて鑑賞できた
監督のブラディ・コーベットは聞いたことのない監督だったけど、まだ35歳らしくて監督としてはかなり若い
この若さでここまでの映画を作れるなら、今後の作品もかなり期待できそう
ただやっぱりまだ荒削りな所があるというか、失速した所が多々あったような気がする
まあ3時間半ずっと面白い映画なんて、スコセッシレベルの監督じゃないと作れないんだろう

ブルータリスト
聞いたことが無い単語だったので調べてみたら、建築様式の一つにブルータリズムと呼ばれるものがあるらしい
リアリズム、リアリスト
と同じように、ブルータリストと言うのは、いわゆるブルータリズムの建築物を建てる建築家の事である

タイトルからも推測できる通り、今作は、ホロコーストを生き残り、米国にやって来たユダヤ系のブルータリズム建築家、いわゆるブルータリストであるラースローを描いた作品
一章、二章、エピローグの三幕構成で、まるで史実を描くかのように、ラースローの人生を映し出している

主演はエイドリアン・ブロディ
最近はウェス・アンダーソン監督作品でしか見ないと思ってたけど、『戦場のピアニスト』がとても良かったので、久し振りに真面目な演技を見れて嬉しい(別にアンダーソン作品での演技が不真面目な訳ではないけどなんか癖あるよね)
やっぱりブロディの演技はめちゃくちゃ良い
元々の顔立ちの不幸感もあるけど、ラースローの役にとてもハマっていて、彼の苦悩をよく表現できていたと思う
また主演男優賞取ってほしいなあ
助演のガイ・ピアースもかなりいい演技をしていた

鑑賞前は建築家の生涯を丁寧に描いた文化的側面の強い作品と思い鑑賞したけど、実際そうではなかった
壮大だが不安気な音楽と共に、画面が明るくなり、自由の女神が映し出される導入
しかし、自由の女神は逆さまを向いている
異邦人としての意識、余所者を歓迎せず優位に立とうとする米国人
ラースローは夢を求めて米国に渡り、良きパトロンと出会い、大規模な建築の仕事を任されるが、計画に余計な変更を加えられ、思ったように建築を進められない
支配的なパトロンによって強姦されてしまっても、しかし、その悲痛な叫びに皆目を向けようとしない
自由の国である米国に渡っても、ラースロー達に真の自由は無く、彼らの心は故郷を失ったままなのだ
この映画は、アメリカンドリームと銘打った情熱の裏で、押し潰された者達の魂を、写し出している

トランプは強引な政策で、移民を排除しようとしている
ドイツも、政権交代が起こる中で、移民排除の志向が強い政党が議席を大幅に伸ばしていた
近年移民問題というものが、かなり浮き彫りになって来ている

映画はあくまでエンタメで、政治的な事柄に結びつけることが良い事だとは思わない
その線引きをしっかりせずに、政治的熱狂に身を投じるのは危険な事だと思う
この映画も、別に上記の世界情勢を正当化しえるものではない
だけど、移民にゆかりの無い日本人だからと言って、目を逸らしてはいけないんだと思う



追記
エイドリアン・ブロディおめでとう!
popopopopo

popopopopo