<概説>
美しい彼女のいる青年は社会主義に傾倒中。一方彼女は社会主義にとんと興味もなく、同志である社会主義者は焼身自殺をしたりとままならない毎日。彼の視点を通じて当時のパリの青少年達を赤裸々に描いた名匠ゴダールによる群像劇。
<感想>
脚本からの脱却もこうまでになると、
『気狂いピエロ』や『勝手にしやがれ』は今になるとわかりやすかったのです。一本筋の論理的整合性から外れた躍動感あるプロットで、モノクロ全盛期のハリウッド映画とはまた違ったダイナミックな美点がありました。
ただね、本作はね、脚本が添え物でね、
いえ社会風潮の描写はいいんです。
それを否定したら社会派現代映画の名声の9割は凡愚にまで失墜しますし。そこまで私も頑迷じゃありません。
ただこう。製作陣の思想が映像の先に来ているのが。無理。
若者の思想。
製作陣の意図。
外部化された言語。
そのどれもが映像としての映画価値を軽んじていて、せっかく映像がいいのになあとなんだかモヤモヤ。
知的な作家というのはこうもあっさりと衒学に傾倒してしまうのかと、正直落胆してしまいましたね。