ユーライ

マトリックス リローデッドのユーライのレビュー・感想・評価

4.3
前作より全然好き。「この現実は嘘かも知れない」という胡蝶の夢な魅力は大幅に後退したが、マトリックス内で繰り広げられるアクションには、「もしこういう日常的な場所で超人達が戦っていたらどんな感じだろう」と妄想させてくれる怪獣映画的な良さがある。特にこれでもかと長尺で魅せる高速道路でのチェイスが出色。アニメや漫画の世界観で、80年代OVAのような趣味性のみで構築されている作品の実写化のような趣き。双子の強キャラ、重要人物が一見冴えない親父、同じ外見の敵キャラなどなどキャラクター立てが本当にアニメ的。だから日本の観客としてはスムーズに乗っていける。哲学的な雰囲気や思考実験的な会話の面白さは押井を連想させるし「何か頭の良さそうな会話でカッコいいじゃん……」で十分。にも関わらず、伊藤計劃垂涎の問題提起がしょっぱい愛の力で解決するのはいかがなものか。一作目での落下→上昇が横の動きになったことによるアウフヘーベン。白い部屋で種明かしをする構造は実写進撃後篇。あと佐藤信介の『GANTZ』とか。
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