このレビューはネタバレを含みます
ゼクシィの有名なキャッチコピーに、
「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私はあなたと結婚したいのです。」という言葉があるが、まさにそんな映画だなと思った。
結婚・夫婦が必然であるという価値観は、今の社会において若干古くもあるが、この映画は、そんな時代でもあなただから一緒に生きていたいという思いを感じた。
(序盤に冷え切った夫婦像を見せたのも意図的ではないかも知れないけど、現代っぽいのかも知れない)
でもラスト劇場ですすり泣く声が聞こえる中でなんだか乗り切れなかったのは、自分と人生経験が違うからなのか…..
「愛を死別で語る」みたいな、若干ありきたり感を感じてしまった。
(良い意味でも悪い意味でも、ポスター以上でも以下でもないなと読後感として感じた)
個人的に「離婚」をテーマにしていたのが印象的だった。
以下少し自分語りが含まれるが、私の親は自分が幼少期に離婚していて、両親が仲良さそうにしていた記憶が無いし、お互いの葬式にも行かないと言っている。だからこそ、離婚という結論を出した後も、カンナがカケルから死を遠ざけようと奮闘する姿、カケルが結婚15年をやり直したいと言った思いにグッときてしまった。離婚してなおそんな愛の強さもあるのだと、、お互いがお互いの死や生き方を一番に想ってあげられるのは素晴らしいことだと思った。
モノレールのシーンと、自分は未来の妻だと打ち明けたホテルの一室のシーンがとても印象的だった。映像の中の温度感や光がとても綺麗だったし流れてる空気がゆっくり丁寧に進んでいたようだった。
松村北斗は相手を慈しむような目が上手い。
松たか子はおばさんにもなるし美しいアラフォーにもなるしノリに乗ってる20代にもなる。人格としてはカンナとして変わらないのに演技や表情で年齢をコロコロ変える。すごい。
カケルの未来を変えようと行動するカンナの構図から、真実を打ち明けた後カケルがカンナとの未来を変えようと奮闘する構図にかわる構成が見事だと思った。スムーズだし、一方通行の奮闘ではなく貰った思いを返していく感じがして良い。
時間はミルフィーユのように同時に流れているものだという考え方はロマンだと思った。