このレビューはネタバレを含みます
坂元裕二さんだけど、塚原あゆ子さんは前作が自分的にハマらなかったので、どうしようかと迷っていたところ、知人にプッシュされて観賞。
うーーん。メロドラマとしては良いけど、タイムスリップ及びタイムパラドックス周りがいい加減過ぎて、引っ掛かりの方がでかい。松たか子の未来改変コメディからの、別なやり直しという話の流れ自体は上手いのに、他を蔑ろにし過ぎじゃないか。
脚本でどうなっているか分からないけど、そもそもの当初の世界線での馴れ初めが描かれないから、お互いどこに惹かれたのか今ひとつ伝わらず。
いや、タイムスリップ後には犬の下りとか微笑ましくも同調する感じが出てたし、それ自体は悪くない。でも、あれを別な世界線(最初のタイムスリップだったか?)でやったまま、すべてが分かった上で改めて馴れ初めというのは、作為しか感じない。そもそも、それは元のまっさらな2人とは違う世界線に移行しているわけで。全然納得行かんがな。
タイムスリップ周りが自由過ぎて、ご都合というのはその通りなのだけど、そもそもこのネタ自体はどの作品もそれっぽい理屈を付けているだけで、明快さには欠けるからこれはこれで作風には合ったお気軽さでありとは思う。
しかし、その結果についての(作品内での作為的)判断が無頓着過ぎる。
最終的に松たか子は、何度も結果を見るだけであって、その過程に何があったかは知らない。知ろうともしない。
結末を変えようと奔走して、それに失敗したら諦めて帰って、変わらない結果に落胆の繰り返し。
しかし、最終的に結果が同じなのなら、他の世界線でもどこかのきっかけで、そこに辿り着くまでを「やり直したい」と思う松村北斗だっていた可能性はゼロじゃない。そもそも、彼女が愛した彼だったら、その可能性は大いにあるはずという描かれなかった部分に孕むパラドックスが大きすぎて、無視できないよ。
せめて作中で設定したミルフィーユ設定は、守って欲しかった。曖昧な話だけれど、中学生の妄想小説を良作に上げるにはそのくらいの工夫は必要でしょう?
松たか子は相変わらずかわいらしいし、坂元脚本にも慣れているからか、生き生きとしていて良かった。
松村北斗は序盤の自身なさげな振る舞いと険悪夫婦時代の変わりようが面影すらなく、意図は分からんでもないが、ただのキャラクターのパーソナルな匂いを残せない下手くそにしか見えないは残念。嫌いな俳優ではないけど。『夜明けのすべて』でもそんな二面性を演じる役だったからか、あれが良くてもこちは、という感じ。
比べるのもかわいそうだけど、『花束みたいな〜』の菅田将暉の方がまだ、リアリティがあったように思う。