沖縄の高校生だった上白石萌歌と、2年先輩の赤楚衛二の2003年から20年以上にわたる恋物語。
ベースとなったHYの名曲は大好きだが、歌詞を読めばビターな物語になるのは必至。
彼女が先輩の後を追って東京に出てからのスイートな話は、ある時期を境に急展開する。
2024年の現在を起点に、過去を少しずつ描いてゆく構造で、各構成要素的には超王道。
別の言い方をすれば、過去にどこかで見た様なピースを無数に組み合わせたような物語は、良く言えば安心して観ていられるし、悪く言えば既視感のかたまりだ。
とりあえず、みんな病気になりすぎなので、コレは別のシチュエーションを考えよう。
先日観たドラマの「スロウトレイン」で、編集者の松たか子が、ゼロ年代に流行った「亡くなった彼女を想う」系の小説を書いた元カレに対し、「死んでないと愛せないのか!」って酷評する台詞が思わず頭を過ってしまった。
この場合は「病気じゃないと話を動かせないのか!」だな。
まあフォトジェニックな沖縄の風景と、美男美女カップルは眼福。
ひねくれた観方をしなければ、楽しめる映画だと思う。
上白石萌歌が、若い頃の藤谷文子に見える瞬間がいくつかあった。