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ファーゴのchichichiのレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
4.0
初めてのコーエン兄弟作品鑑賞です。
この作品で皆さんがコーエン兄弟を賞賛している訳がわかったような気がします。

今回はフランシス・マクドーマンドさん目当てで観たのですがジョエル・コーエンと結婚されているのですね!

そして、フランシス・マクドーマンドさん!3度目のアカデミー賞主演女優賞受賞おめでとうございます。

作品ですが、

まさに衝撃の実話!

冒頭、

“これは実話の映画化である 実際の事件は1987年 ミネソタ州で起こった
 生存者の希望で 人名は変えてあるが
 死者への敬意を込めて 事件の その他の部分は忠実な再現化を行っている”

とテロップが流れる。

多額の借金返済のため偽装誘拐を計画した冴えないおっさんのジェリー。
やることなす事全部裏目にでて情けないたらありゃしない。
依頼した誘拐犯2人は、ダメダメ(笑)
この3人、本当に行き当たりばったりで、何も考えていない。

そして、それを追い詰める妊婦の警官もなんかゆるい。この、ゆるりとした雰囲気で残虐な殺人事件が起こっていくのに緊迫感やドキドキ感、ヒヤヒヤ感がまったく伝わらない(笑)

このマヌケな男どもも対象的に、事件を捜査する妊婦の警官マージは、マクドーマンド。
彼女だけが正義感を持っているんだけどなんかゆるい、妊婦さんだからいつも食べてばかり(笑)
しかも、"Oh, yeah"の連発(笑)

誘拐犯は凸凹コンビ。

劇中、変な顔と言われ続けるブシェミ。
"レザボア・ドッグス"のピンクだったんですね!金にがめついお喋りな小悪党
の存在感はお見事でした!

もうひとりは、大男のストーメア。
無口で潔癖症。危なくなると迷いなく人を殺してしまう凶悪犯。
ミンチ器のシーンは衝撃的!

このマヌケな誘拐依頼者がマヌケな誘拐犯人をよびマヌケ連鎖が雪だるま式になって大惨事になっていくのです。

何人もの人間が死ぬサスペンスなのに、不穏な音響や叫び声、派手な血糊の演出がないくて残酷シーンもない。

妊婦の警官のフランシス・マクドーマンドのゆるりとした絶妙な演技によりごくごく日常を描きながら事件を過剰に取り上げてない所が特徴的です。





以下ネタバレあります⚠️






これは事実を元に作られたと冒頭で言っておきながらも実は、フィクションというなんとも言えないような絶妙なオチにあります。

カラクリは、まず冒頭の約束の時間から間違っている。つまりどちらかが嘘を付いている。
他にも嘘ばっかりの伏線だらけ。

特に、嘘の象徴がマージの同級生の男のマイクヤナギタ。
結婚してて妊娠もしてるのに男に会いにいくのもどうなのって感じなんだけど…
マージの目の前で涙ながらに身の上話をするけどまったくウソばっかり。

映画が始まる前、重苦しい曲と共に「実話に基づいた話、忠実に再現した」とテロップが流れれば信じてしまうでしょ。

ある意味これってコメディか?と思わせるようなサスペンスっていうところが見どころで、仰天ニュースに取り上げられるような不可思議なお話で疑似再現ドラマを映画化したみたいでした。

まさに衝撃の「実話」でした(笑)

コーエン兄弟の他の作品も気になるところです。
シュールでブラックな笑いが全編に散りばめられたサスペンス映画でした。


※あの雪の中に隠した現金はどうなったのかがとても気になってます(笑)
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