つかれぐま

Flowのつかれぐまのレビュー・感想・評価

Flow(2024年製作の映画)
4.5
25/4/2@HT渋谷#1

全編台詞なし。なぜなら人類滅亡後にサバイブする動物たちという遠い未来のお話だからという必然。そう遠くないのかもしれないが・・

動物たちの動きはリアルだ。だが本作の白眉はキャラクターを自在に動かすことではなく、極めて精緻に構築されたメタ・ワールドのあえて外側に視点を置いて、時に追いかけ、時に俯瞰して「撮る」カメラワークだ。長回し、揺れ、フレアといった実写作品の手法。それによって本作はいわゆる「神の視点」を備えた叙事詩に昇華していると言っても過言ではない。それほどの射程の深さ。

船に乗って移動する水平の動きに加えて、空から水底に至る上下のダイナミックな動きが要所で入り、観ていて飽きさせない。そのため猫🐱さんは何度も溺れ、最終的には魚🐟️獲りを覚えていく。

様々な動物がまさに「呉越同舟」で旅する話だが、こちらが期待するほどには動物たちは仲良くならない。新しい「客」を乗せたら、船の空気が悪くなってしまうというのも過剰なほどのリアルさだ。サルが暴れだした時、あいつが大事に抱えていた空き瓶で、動物たちを撲殺するのでは?と心配になったが、どうやらあの世界にモノリスはなかったようで一安心。

モノリスといえば、あの大きな白い鳥は地球産の生物なのだろうか。終盤、アレが手塚治虫『火の鳥』のように旅立っていく(猫は連れていかない)シーンは、いかようにも解釈できそう。

クライマックスでは、シニカルな現実と僅かな希望を見せてくれるが、そのバランスが絶妙だ。個人的には『野生の島のロズ』への不満を解消してくれたかな。ポストクレジットが暗示するものは陸地の完全消滅、いや水の惑星への回帰か。だが我々観客はその水面下には豊かな生態系が広がっていることを知っている。それは(神の視点では)あながち悪い未来でもないかも。