映画『敵』
原作は筒井康隆。
監督は吉田大八。
全編モノクロ。
大学教授を引退した独居老人77歳。演じているのは、長塚京三。「理想の上司」と言われたおじさん。
住んでいるのは、祖父の代からの古い日本家屋。縁側や井戸がある。規則的な生活を送りながら、人生の終焉について考えている主人公。ある日から「敵」がやって来ると言い始める。
主人公はフランス文学の権威。長塚京三自身もフランスに留学の経験があり、フランス語もできる。
近所に僕の叔父さんが住んでいる。90半ば。
毎朝早くに起きて散歩して、新聞読んで、自炊して、規則正しい生活を送っていると思われる。慶應の文学部を出て、データベースの開発などなど大きな仕事をしてきた人。引退してからかなりの歳月が立ち、スマホの使い方を教えるのも一苦労。先日、鍵を無くして大騒ぎ。しかも無くしたのは家の中。夜中に人が訪ねて来たというので、インターホンの履歴を見るが、誰も来ていない。
そんな叔父さんを見ているので、この映画うなづけるような事ばかり。恋も敵も、痴呆が始まった老人の妄想。
フランス文学のメタファーがいくつもあるらしい。『失われた時をもとめて』くらいしかわからなかった。
教え子役が瀧内公美、バーで出会う大学生役が河合優実という今の邦画界を代表する女優なのがいい。
原作を読んでみたい。