もうすぐ30歳をむかえる、小学校4年生の担任女性教師がラップに挑む物語。
「テンプレと建前」の教師と、「即興と本音」のラッパーの対比。そして、世には「29歳問題」というのがあるそうだが、それも本作のテーマのひとつ。
彼女は、子供の様子の変化を敏感に察知してそっと手を差し伸べるような教師。
一方今や、不登校でもアプリで学習でき、ネットゲームで友達とも繋がれる時代。そんな中で教師に何が出来るのか、どこまで踏み込むべきなのか。
そしてもう30歳だし ...
自信は無いが、ウソも虚飾も無い彼女の言葉とライム。ヒップホップ文化のオラオラな感じとか自己肯定感は正直苦手。むしろ拙い彼女のラップにこそ心を動かされる。
小体ながら、今の教師を取り巻く環境のリアルを描きつつ、安易なハッピーエンドに流れない志が感じられる良作。
余談だが、ラスト〜エンドロールで流れる公開授業の様子がすごい。協力に「明星学園」とあるが、これが自然な雰囲気で行われているのなら素晴らしいことだと思う。