観たばかりで、あまりまとまっていませんが、ぜひ多くの人に観てもらいたいと思って、早急に書いておきます。
(公開規模も今のところあまり大きくはないので、観られない方も多いと思いますが、私もがんばって久々に東京まで行ってきました)
まず、29歳の社会人の女性としての、主人公の「等身大性」が光ります。
彼女は小学校の先生なのですが、特別すごい先生ではないけれど、ちゃんとがんばっていますし、生徒のために努力も続けています。そして、近年の学校を舞台にした映画に多いような「ひねくれた問題」も、本作には登場しません。親からの「クレーム」というか「問題提起」もあったりしますが、至極まっとうなものとしてそれは描かれていますし、登場する子供たちもみんなそれなりに子供っぽく、しかもまっすぐで頑張り屋さんです。(まあ、ちょっといい子すぎると、感じなくはないですが・・)
それでも、彼女は常に不安です。不安が常に顔に表れています。
その点で、瞳いっぱいに感情を表す山下リオ、好キャストで好演ですね。
その彼女が最終的に「不安でいいじゃん。不安のままでも生きていけるよ」という、当たり前の「真実」に到達し、そして、それをある生徒に伝えるまでの物語。
小さな、だからこそ、観る者の「小さな心」にちゃんと届く物語だと思います。
少なくとも私には、しっかり届きました。
この自分のまま、生きて行っていいんだ。とあらためて思わされました。
そして本作の特徴は、彼女がラップをやっていることで、実際に彼女がラップを歌う(語る?)シーンが4つあるのですが、これがみごとなまでに「素人くさい」。
きっともっと本格的に人をうならせるような演技もできると思うのだけれど、あえて「初心者がヒップホップに取り組んでいる」そしてその中で「何かを学んで気づいて掴んでいく」プロセスが、この4つのラップの中でちゃんと伝わってくるのです。
特にラストのピアノとの掛け合いは、「ああ、これぞクライマックスなのだ」としびれること請け合いです。
小さな映画ですが、4つのラップシーンを通して、ちゃんとクライマックスへの「上り坂」がくっきり見えるのが素晴らしいと思いした。
主演のみならず、脇の渡辺大知(いつもながらかわいすぎる)、占部房子(超カッコいい。粋な先生)、そして池田良(トレードマークのニヤニヤ笑いがこれだけ効いている映画もないのでは?)といったキャストもホントに素晴らしい。
監督の今後の精進に期待大。