三樹夫

おんどりの鳴く前にの三樹夫のレビュー・感想・評価

おんどりの鳴く前に(2022年製作の映画)
3.5
ルーマニアの横溝正史ものみたいな、ルーマニアの嫌な田舎の話。猫背警官の主人公はルーマニアの村に勤めており、マンション売って土地を買い果樹園を営もうかと考えていた。そんな中頭カチ割られた死体が見つかり、ルーマニアのトム・クルーズみたいな新人警官は勇んで聞き込みを開始するが、主人公含めたおっさん連中がどうしようもなさ過ぎて、超みみっちい『チャイナタウン』みたいな感じになっていく。

絵に描いたような田舎の権力者のジジイが出てくる。勿論禄でもないジジイだが、もの凄いスケールの小さい悪みたいなのがどうしようもない感を高める。主人公はそんなジジイの金魚のフンみたいなもんで、マジでこいつら碌でもねぇなとなる。
主人公は現在独り身で、ただ結婚したいなとも思っている。何気にルーマニアの弱男感があり、好きな女性へのアプローチの仕方よ。夜でも電話してきていいぞとかめっちゃイキってたが空回りしていて、あのプレゼント渡せずに相手行っちゃった時の虚しさたるやというか、あんなの当たり前だよ。ウェルメイド作品だと、主人公は正義に目覚め、勝つだの負けるだの関係なくジジイに立ち向かうとなるが、クライマックスに向かうほどよりオフビート度は高まり最後はボチャーンで終わり。全く撃ち慣れていない銃撃戦に加え主人公とは思えないダメージを受けた時の超カッコ悪い痛がり方で、印象に残る。
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    三樹夫

    三樹夫

    成田三樹夫が好きです。