栄光を忘れられない元映画スター・ノーマと目が出ない脚本家・ギリスの話。
どの場面にもユーモアが散りばめられているおかげでそこまで重く……ダメ、辛すぎる。情報を小出し小出しにする構成も完璧だし、台詞も魅力的。ノーマと執事のマックス以外のキャラクターはちょっと理解できなかったけど、ラストの鬼気迫る演技は今まで溜まっていたものを爆発させるかのよう。多少大げさに見えるけど、ノーマがスター時代に培った演技作法が透けて見えるディテールは見事としか言いようがない。
誇張しすぎない心理描写や鏡を使ったショットはビリー・ワイルダー監督って感じ。コメディ以外も達者なのは『情婦』で証明済みだけど、今作で全てにおいて圧倒された。敬遠してたけど本当に観てよかった。
