IMAXで鑑賞。
人類初の核実験、トリニティ実験が成功したとき、オッペンハイマー自身は何を思ったのか。
180分の上映時間を感じさせない構成。でも正直、この題材を180分でやるには無理があった。編集が良くも悪くも細部まで行き届いているのも原因だけど、戦後もしっかりやってるせいで全体として余裕がない。映像に関しても余裕がないので余韻がない。そのシーンの感情はそのシーンのうちに処理しないと、また新たな出来事で上塗りされてしまう。
そして個人的にこの作品で一番観たかったものは、オッペンハイマーが自分で作った原子爆弾に苦しめられること。マンハッタン計画のリーダーになり、日本本土上陸計画のダウンフォール作戦が実行されるよりは、原爆で戦意を削いで降伏を促す方が犠牲者は遥かに少ないと信じて突き進んだ。しかし、その後広島と長崎の惨状を知り、自らその恐ろしさに気付いたオッペンハイマーは生涯に渡って苦しむことになる……。もっと葛藤して人間らしさを描いてほしかった感はあるけど、それは賛美にもなってしまうからその塩梅って難しい。
全体として、映像より人物に焦点があっている割には余韻も描写も足りない部分が多かった印象。会話劇の映し方や照明だったりは参考になったけど、それ以外はもっと他の作品あるよねって感じてしまった。
正直、歴代のノーラン作品に比べると映像より音が良かった作品だったので、Dolby Cinemaでもう一度観たい。
