MarySue

ホームドラマのMarySueのレビュー・感想・評価

ホームドラマ(1998年製作の映画)
4.0
ある家族のもとへやってきた一匹のネズミ。家族は思い思いにネズミと接していたが、その日から次第に家族は崩壊していく……

家族と個人の在り方。ネズミによって自分を解放するようになった登場人物たちは、欲望に対して忠実になる。性的指向を隠さなくなったり、自殺願望が願望に留まらなくなったり……。そうして家族コミュニティから独立していく。

ブルジョア階級家庭が抱えている家族としての役割を真っ向から否定して、ネズミを通して弟、姉、母親の順で個人の解放へと向かわせる。それに取り残されてしまった形だけの父親は、ネズミとなって家族に殺される。

社会規範(家族としての在り方、個人的信条や行動をあるべき姿へと律する)から自らを解放する。その時、初めて人間は人間らしくいられるのかも。個人的にはそんな規範だらけの社会から逸脱せず、如何に上手く自分らしく生きるかが重要だと思っているので、この映画自体は理想論にすぎない。ただ、そんな堅苦しい題材をこんなブラックユーモアで包めるフランソワ・オゾン監督が大好きです。途中、ゲラゲラ笑ってしまった。

なんだかんだ初めて作品を観たけど、カチッとハマった。他のも観よう。
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