このレビューはネタバレを含みます
恋愛映画好きとしては観ておくべき作品でよく見かけるが観る手段がなかなかなく、劇場公開されると知りとても楽しみだった今作。その美しく、無駄のない映像の連続に引き込まれて、夜の良さが充分に映し出されていたので冒頭から無条件に好きだなと思えて楽しめた。
だが、恋愛映画で私が勝手に期待する感情の起伏を深掘りするというよりかは、極力感情は減らして、恋愛の機微をどう映画内で映し出すかというところを重要視されている作品だと思った。(だからこそ、色んな監督たちに影響を及ぼしているのかなと)
ポンヌフの流れる川で繰り広げられる2人のやり取りとともに映し出される、その美しい夜の風景。2人の顔よりも動きや仕草、視線の向き方が無駄なく映し出される。その引き込まれるような美しい映像が他にない恋愛映画なのかなと思った。特に2人がカフェに入った後の手だけをメインに映し出すシーンは痺れた。この潔さによって何を映し出したいのかが明確になり、それが洗練され、研ぎ澄まされた美しい映像に繋がるのだなと思った。途中挟まれるボサノバ的な音楽が唯一感情とリンクしているようだった。
でも物語としては、1人でなければ誰でも良い人たちの恋愛に見えて、そこにおいてはあまりのめり込めなかった。最後のあっさり感はかなり好きだが。フランス人女性の強かさを感じられて良かった。主人公の青年の絶妙な気持ち悪さがずっとモヤモヤはしたので、この終わり方なのはスッキリと流石に可哀想だなという奇妙な感情が混在した。エンディングがなく、いきなり、パッと明るくなるのも物語と同様に現実が一気に押し寄せてくるようで面白かった。
それから、冒頭のボヤけた夜の光がとても美しかった。他作品も観た上で本作を観た方がより楽しめそうだなと思った。また観たい。