空母ポンタヌフ

猿の惑星・征服の空母ポンタヌフのレビュー・感想・評価

猿の惑星・征服(1972年製作の映画)
3.2
最新作に向けてマラソン中。ディズニープラスでは3作目の「新・猿の惑星」は観れなかったので、そこはプロットだけ頭に入れて鑑賞。個人的には結構面白く楽しめた作品であった。

人間とサルの対比がかなり面白い。人間は、サルをもともとペットとして可愛がっていたが、いつしか奴隷として使役をしてしまう。前作の未来からやってきた知性ザルの息子であるシーザーが、そんな状況に耐えかねたサルたちを率いて反乱を起こすという物語。もともとの飼い主であるサーカス団長とお互いを信じ合っていたシーザーが、世の中のようすを目の当たりにして「怒り」を覚えていく描写が生々しくて好き。

人間側が「サルに自分たちの野蛮さが眠っているんだ」みたいなセリフを吐くシーンがあるのだが、このあたりのセリフから伝わる隔たりが相当なものであるという絶望のシーンがいい。そこで黒人のキャラクターがシーザーを説得する際に、「自分の奴隷の子孫だ」と説得するシーンが、これまでの人類史(曲がりなりにも自分たちの野蛮さと折り合いをつけて進歩してきた)のある種ポジティブな部分が見えて好き。人間は1枚岩ではなく、カテゴライズしてレッテルを張るのがよくないことがわかるシーンである。

そしてサルの反乱シーンがかわいい。武器をこっそり集めるシーンがあるのだが、うっかりスプーンを持ってきてしまうシーンとかなんともいえぬホッコリ感がある。

また、この作品でサルが地球の支配者になるのだが、このまま1作目に繋がると言う円環構造がSFシリーズとしては素晴らしいと思う。1作目→2作目→3作目→4作目→1作目→… と無限に繰り返すことが可能なシナリオは、人間やサルはお互いを憎み滅ぼし合うということは避けられない、という非情な問題提起としても、SFフランチャイズとしてもきれいな円環構造である。えっ!!!5作目があるんですかっ!?!?!?