アニマル泉

結婚哲学のアニマル泉のレビュー・感想・評価

結婚哲学(1924年製作の映画)
5.0
20150426シネマヴェーラ
映画史上の最高峰。サイレント時代にもはや最高レベルに到達していることにあらためて衝撃。本作のルビッチの小物は花と帽子。それらが忘れ物や落し物となり、入れ違いや勘違いとなって事態が混迷していく。ルビッチの世界ではとにかく予想どおりに事が進まない。そして人間の感情をかくも自由自在に操れる演出術はルビッチ以降誰も凌駕していない。ミッツィ役のマリー・プレヴォーが圧巻。ポーラ・ネグリを髣髴とさせる。アドルフ・マンジューの存在感が嬉しい。

20200905シネマヴェーラ
再見。頭から扉のオンパレード。扉の人の出入りは律儀に描く。扉の効果は「すれ違い」と「中に誰がいるか見せない」ことだ。ルビッチは先に観客に状況を示すので余計ハラハラする。このスリルのかけ方が上手い。
フローレンス・ヴィダーがタクシーをことごとくマリー・プレブォーに乗っ取られる、花を毎回忘れるか落としてしまう。この2点が事態がややこしくなる基点になっている。帽子の置き忘れは決定的になる。
カットのつなぎはインアウト。「人物ごし」のアングルはまだない。ピアノ、割れる花瓶、電話のアップでアクションが起きる。音が聞こえそうだ。指のアップが艶かしい。ゆで卵とコーヒーのアップでキスシーンを見せないのはいかにもだ。「入れ替わる」もルビッチの主題。本作ではネームカードだ。演奏版。澤登翠の活弁で上映。
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