大好きな監督TOP3に入るキャメロン・クロウ監督。
「ザ・エージェント」は好きすぎて、まだレビューが書けない。この映画がきっかけで私は昔、仕事を変えたくらいだ。
この作品は、最愛の妻を亡くし、仕事も息詰まり、子供たちとも心が通わず、絶望の淵にいる男ベンジャミン=マット・デイモンが、廃園寸前の動物園の再建に乗り出す物語。
表からではわからない動物園経営の困難さ、それでもあきらめない彼の奮闘ぶりは悲痛ではなくどこかユーモアも感じさせ、勇気付けられる。
一方で母を亡くした喪失感に満ちた息子との葛藤も深い。
父親としてどういう言葉をかければよいのか?
観ているこちらも共に悩む。
愛娘のロージーはひたすら可愛い。癒される。
スカーレット・ヨハンソンやエル・ファニングといった脇を固める女優陣も可憐に印象を残して素晴らしい。
他にもユーモア溢れるキャラクターもふんだんにいるし、「20秒恥をかくだけで、すべてうまくいくことがある」といった心に残る台詞もある。
ただ、やや上品にウェルメイドに仕立てた感があり、胸を揺さぶられるまではもう一歩だった。
成功したくて成功するのではなく、どんなに無理だと思えても、絶望にくれても、また立ち上がり、最後まで諦めないからこそ、どこかに辿り着く。
そのように語ったのは以前、アカデミー賞歌曲賞を受賞したレディ・ガガ。
当時、彼女のスピーチにぐっと来たがこの作品もまた全てを失っても尚、諦めない姿にこそ価値があると改めて思わせてくれるヒューマンドラマだと思う。