【第20回大阪アジアン映画祭　コンペティション部門出品】
トライベッカ映画祭で国際部門の作品賞を受賞している作品。テレビ局員の主人公をめぐるブラックな人間ドラマ。

終わり方は上手い！本当に報道されるべきことは権力に握りつぶされ、主人公は知ることすらないまま国家主義に奉仕させられる。その捻れた構図を表した終わり方は秀逸。

ただ、それまでの展開が鈍重…100分の作品にも関わらず体感3時間だった。丁寧に主人公周りの出来事を映したストーリーテリング自体は悪くはないが、いささかテンポが悪い。

もう少し脚本をブラッシュアップしてテンポも上げた方が緊張感も出たはず。全体に弛緩した空気が漂い少し残念。監督の将来性は間違いないあたりだとは思うので今後に期待。

• #第20回大阪アジアン映画祭

【キャリアアップの為にグダグダ世渡りを敢えて選ぶ背景に迫る】【大阪アジアン映画祭】
■あらすじ
テレビ局の記者として働く主人公は、仕事に恋愛に充実の毎日を送っていた。しかしプロパガンダになっていく報道、妻のいる男との恋愛、レズビアンで活動家の妹の面倒に次第に疲れていく。鋭い視点とブラック・ユーモアで描く人間ドラマ。

■みどころ
テレビ局で働く主人公が仕事・家族・恋愛において上手く立ち回るお話。
映画は主人公とレズビアンで活動家でもある妹の生き方の違いを中心に描いていくが、本作は"対極"の描き方を通じてカザフスタン社会の実態を浮彫にしていくところが興味深かったです。
バイクとチェスという対極的存在で話が進むのも、映画全体を通じて理想と現実といった対極を持ち合わせているのだと思う。
グダグダな生き様、イデオロギーを貫き通す正義の行方を群像劇のように映す中で、不条理な社会での願望の叶え方・逆説的に世渡りの強いられる窮屈さを鋭く描くのは面白いと思う。
表向きは民主的ながら実態は強権的な社会において、上手く立回って傍観する世渡りする打算的グダグダがコツだと言わしめるキラキラ社員が悟る風刺が印象的な映画でした。

というかカザフスタン映画なのに風刺の効き方がルーマニアぽいと思ったら、ラドゥ・ジュデに影響を受けたそうです。
だってサボる警察官の姿がまんまラドゥ・ジュデ映画に出てくる警察官の面してるもん。
怒られないように振る舞う姿だったり、知らん人にはイキるクセに水戸黄門の紋所的なのを見せられたら掌返す潔さとか…映画を通じてカザフスタンでのLGBTの扱いも描くが皮肉の仕方がルーマニアで草でした。

• #OAFF2025

分かる分かるのだけど、体感4時間くらいに感じた