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花ちりぬの一のレビュー・感想・評価

花ちりぬ(1938年製作の映画)
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ハンパじゃない。自らに課した作劇上の厳格なルール(カメラは舞台となるお茶屋の敷地から決してでない・男の姿は決して映さない)を遵守しながら、徐々に迫ってくる幕末の内戦(戦争はもちろん男が始めるのだ)を音で表現しつつ、大砲の音がエスカレートする中ひとり宿命的にそこに取り残された花井蘭子と物干し場から遠くに見える炎を捉えるラストがすげえアポカリプス感。『夜の鳩』で見られた室内ショットのバリエーションの試みが本作でもまた活きているし、『むかしの歌』と響き合う花井蘭子のクロースアップはここでもまた素晴らしい。
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