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スペースバンパイアの堊のレビュー・感想・評価

スペースバンパイア(1985年製作の映画)
4.1
フーパー映画は音がおかしい。ほかの映画なら「パリーン!」と高い音で表現される割れるガラスの音もフーパー作品では「ガッッギャーーン!!ガリガリ…」となる。落ちてく破片ひとつひとつがガリガリと音を立てていく。そう、フーパー作品は過剰すぎる。伊藤計劃『屍者の帝国』の元ネタとしか思えないゾンビに覆われたロンドン、直線で滴る血、全裸金髪女宇宙人。すべて過剰なイメージの集合である。チェーンソー男が恋に落ち、女性器を股間でなぞる描写に思わず笑ってしまったように、本作においても熱いディープキスが搾精行為であることが提示されるおっさん同士のキスシーンで観客は爆笑するしかない。そもそも中盤から出てくる主人公(主人公?)、『白い肌に狂う鞭』、『スポコン』思い出す実験室、『バンパイアの惑星』な船内(ダン・オバノン)…。歪すぎる数々にビビるがラストの「俺を世界は倒せるか?」「倒せるさ」にはチビる。というかラストどういうことやねん…。『いけにえ2』といい、フーパーのスタッフ共々アッチ側に行っちゃったってことなのか…?なんだか凄いものをみた。後に残るのはその感覚だけ。
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