元レンタル担当

ゲームの元レンタル担当のレビュー・感想・評価

ゲーム(1997年製作の映画)
4.7
【嘘も突き通せば真実になる】

『ゲーム』というタイトルにちなんで例えるなら…
主人公がプレイヤーでその他はNPC。
総称して“ゲーム機”と呼ばれる物で遊んだことがある人なら分かると思うが、コントローラを通してプレイするのが基本である。
故にこの作品の最大の焦点は…
《コントローラ🕹を握っているのが誰なのか?》
ということ。

何が真実で何が嘘なのか…
人間は目で見、耳で聞いた情報を“真実“と思いがちだが、違った方向へ誘導する(ミスディレクション)要素が視聴者の視覚と聴覚すらもジャックし騙される。

以前、何かで聞いた実験で過去に熱い金属棒で火傷したことがある対象者を目隠した状態であえて冷えた金属棒を押し当てると火傷のような痕が浮き出る…といったような内容だった気がする。
何が言いたいかと言うと…
この作品を通して人間の思い込みの力に改めて関心させられる…ということだ。
+の作用に働けば得られる恩恵も大きいだろうし、−の作用に働くと生死を左右するほど危険である。
それ故に−に悪用されると思うとゾッする。本作ではその人間の思い込みによる+−の作用がどのように利用されるかにフォーカスして見て欲しい。

どんでん返し系には…
1度エンドロールまで見終えた観客の感情を大きく揺さぶるが、2回目以降はもう同じ感情は2度と味わえない。“1回きり”というある種の“制約”の下、その効果は絶大である。どんでん返し系で有名な監督で“デヴィッド・フィンチャー”という名を知らない人はいないだろう。
本作を例えるとしたら…
まさに後出しジャンケンである。
こういうどんでん返し系は後味が悪いのがセオリー。結末も2パターンしかない。それすらも承知の上だったのに決定的瞬間を覆して“ゲーム”と言われる所以が顕現する。私も人並みにどんでん返し系の作品はこれまで鑑賞してきたつもりだ。
そのはずだったが…
鑑賞後スッキリする…という新しい感覚に襲われた。私の中でどんでん返し系はこうだ!という固定観念がいつの間にか確立してしまっていたようだ。何事も慣れは油断を生むので恐ろしい。一周回ってどんでん返し系を見過ぎて物足りなさを感じている人がちょっとしたスパイスを求めるならぜひこの作品をおすすめしたい。
シンプルなタイトルに対して不相応な程、実に中身の濃ゆい作品だった。

わたしは盲人であったが、今は見えるということ

〜それでは皆さんいい夜を🌙〜
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