たく

ひとりぼっちの二人だがのたくのレビュー・感想・評価

ひとりぼっちの二人だが(1962年製作の映画)
3.7
冒頭場面の凄過ぎる撮影トリックがWEB上で話題になったのを知り、かつてドハマリした吉永小百合が主演ということもあって鑑賞。この冒頭シーンの不思議な映像マジックで呆気にとられるんだけど、その後の任侠モノと人情ドラマの展開が普通に良かった。本作の舛田利雄監督の「上を向いて歩こう」と同年の作品で、坂本九、浜田光夫、高橋英樹が再集結して息ぴったりのエンタメ作品になってたね。中村八大、永六輔の名コンビが音楽担当。

富豪の社長に身売りすることになったしがない芸者少女の逃走劇を助ける同級生のチンピラとの道行きの恋みたいな筋書きに、同じく同級生の舞台裏方スタッフが三角関係的に関わってきて、ボクサーの兄が四角関係となり、彼に惚れてる女との五角関係になるという雪だるま式の修羅場のような話。‥なんだけど、これが青春映画として爽やかなエンタメにまとまってるのが上手いバランスで楽しかった。

坂本九が役名で九ちゃんと呼ばれるのが当時の彼の人気の凄さを表してて、ミュージカル演出で癖のある歌唱を存分に発揮してた。吉永小百合が3人の男に慕われる設定はアイドル女優としての魅力全開で説得力あり過ぎだった。彼女はアイドル性が邪魔したせいもあってか映画の代表作に乏しく、名監督に次々と起用された若尾文子と対象的な存在としてついつい比較してしまう。個人的なベスト3は「伊豆の踊子」「愛と死の記録」「泥だらけの純情」。
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