ピエール・エテックスの短編二作目で、アカデミー賞短編映画賞作品です。クライテリオンのBDボックスセットに収録されています。
結婚記念日にプレゼントや食事、ワインを用意して待つ妻、プレゼントや花を買って早く家に帰ろうとする夫。しかし、交通渋滞などでなかなか家に帰れない。13分弱の短い時間に様々な人物が描かれます。そして、ちゃんとクスッと笑える。大笑いするようなギャグではなく、ささやかな笑いです。それでもセリフは最小限。ほぼサイレンス作品のようなセリフの少なさです。これだけ短い時間に詰め込んで、全く無理なく上品に仕上がっているのですからさすがです。
ピエール・エテックスは最初のシーンで観客との結びつきを作らないといけないと言います。「ウンウン、わかる」という納得感。最初にこの結びつきを作れれば、あとはどれだけ想像力を働かせても観客はついて来れると言います。
ピエール・エテックスのアプローチが短編の唯一の正解ではありませんが、正解の一つであることは間違い無いでしょう。
ちなみに、フランス語ではX(エックス)は発音しません。ボルドー(Bordeaux)が「ボルドックス」ではないように。ただ、Pierre Étaixの場合は「エテー」ではなく、「エテックス」なんですよ。