SSFF&ASIA2025

過激派組織の夫と暮らす主人公。
そこに夫が若い第2の妻を迎え入れるところから始まる短編。25分。


夫がどういう立場なのか、その辺は詳細に描かれるわけではなく、何となくこうかな…と思いながら観るのはショートフィルムの醍醐味。

新たな妻に対して子を産む道具としか思っていない夫。
そんな状況を目の当たりにしながら、主人公はある行動に出る。


その後、彼女はどうなったのか。
良いことが待っているはずがないことだけは確か。
支配されることに慣れるなんて悲しすぎた。


戦地を描いているわけではなく、あくまでも背景に戦争がある、そんなお話。

• #ちょめろ短編2025
• #SSFF2025

SSFF&ASIA2025にて

最初、若い女性（第二夫人）をさらって来た男性が主人公の夫だと思わず、不法侵入!?と思ってしまった。第二夫人の身の上話でようやく、夫婦だったのかと驚愕。そのぐらい、二人の間に愛情は見えない。名前を呼び合うこともない。そこに見えるのは、支配者と奴隷の姿。しかも、支配者だって幸せなわけではない。息子を作らなければ憐れだと軽蔑される。

給水車での経血の表現が、生々しさを際立たせていた。戦争で流されているであろう血、生命に繋がるかもしれなかった血、しかし酷く差別される性であることを示すものでもある血。

主人公の決断は、命がけに違いなく、成功するかどうかもわからないが、そうするしかないのだろう。淡々とした描写が、怖い。

背景に「戦争」があるわけだけれど、「平和」というのは、単に戦火が迫っていないことだけではなく、だれもが尊重されて生きられる状態のことを言うのだと痛感させられた。