歴史的偉業を成し遂げたサリー・ライド。彼女は1983年、32歳でNASAのスペースシャトルに搭乗し、宇宙へと旅立った。世間の注目を一身に集めた“アメリカ人初の女性宇宙飛行士”は、その頭脳と冷静さ、そして隠された強さで未来への扉をこじ開けた。 しかし、その輝かしい功績の陰には、誰にも語られてこなかったもうひとつの人生があった――。 公然と横たわる性差別、そして同性愛への偏見。サリーは自らのプライベートを守るため、愛する人との関係を27年間も秘密にしてきた。その人こそが、彼女の人生のパートナーであり、本作の語り部であるタム・オショーネシー。ふたりの静かで深い愛、そしてその愛が社会に知られなかったことの痛みと誇りが、今初めて明かされる。 監督は、エミー賞を受賞したクリスティーナ・コスタンティーニ。膨大な記録映像と貴重なインタビューを通して、NASAでの過酷な訓練、宇宙飛行の舞台裏、そして華やかなメディア出演の裏にあるプレッシャーと孤独が丁寧に描かれる。 このドキュメンタリーは、サリー・ライドという一人の女性の“勇気と愛”を描いた傑作である。宇宙を目指した女性の姿が、やがてひとつの愛の物語へと重なっていく――。
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