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ロゼッタのものレビュー・感想・評価

ロゼッタ(1999年製作の映画)
4.0
ロゼッタが生活保護の手続きをしなかった理由は何だったか。
あんなにキツい生活なら、さっさと手続きすれば良いのにと思ったから。

・生活保護を受けたら、今住んでるトレーラーハウスのような、最低限のところに住むしかなくなる、周りの環境や人間関係も最悪。もっと良い生活がしたいのだ。
・働かなくても生きていける事を覚えたら、自分もお母さんみたいにだらしなくなってしまうのではないか?自分にもこの母の血が流れている。

常に怒りと共に生きているようなロゼッタ。肩で風を切り、大股で歩く。
母はアル中、精神的にも問題ありそう。自分が父、母役にならなければ二人共自滅してしまうだろう。

私がやらなければ、私が。
ロゼッタの背中が叫んでいるように思えました。

移民に出来る仕事は無いに等しくて、少女のロゼッタにも容赦なく世間は厳しい。
野良猫のように抗い続けるロゼッタ。青年といい感じになったって、自分が生き延びる為に利用せざるを得ない…
ただ、青年のアパートでパンケーキ食べて音楽を聴くシーン、ロゼッタの歪な笑顔やいい雰囲気のところで萎縮してガチガチになっちゃう辺り、張り詰めていたものがぽろりとこぼれ落ちたような、少女らしい感情が垣間見えたのがとても良かった。しかし同時にロゼッタが背負うものの厄介さが透けて見えた気がしてやるせない気持ちにもなりました。

こんな、年齢に見合わない苦労をしてる子って、見えて来ないだけで日本にも絶対いるだろうな、と、考えさせられる映画でした。

ちょうどこの映画を鑑賞した頃、中学3年の女子が渋谷で母娘を刺した事件がありました。刺した子は、塾に通っていたそうだから、貧困ではなさそう。それでも人を刺し、死刑になりたい…とまで思い詰めてしまうのか。
仲良さげに歩く母娘にカッとなってしまったのかな。。人の心の闇は、外から見ただけじゃ分からないものだな…と思いました。
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