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家へ帰ろうのものレビュー・感想・評価

家へ帰ろう(2017年製作の映画)
4.0
被害者意識をむき出しにして、我を通そうとする偏屈爺さんだなあ...と、中盤までそう思いながら観賞しました。
ホロコーストの犠牲者で、気の毒ではあるけれど、現代に生きるドイツ人にまで当たり散らさなくても。。と。

でも終盤、生死も判らない旧友に会いに行く途中で『会うのも、会えないのも怖い』と呟くアブラハムに、好感度爆上がり。...からのラストは思わずもらい泣きしました。

友にスーツを渡す。足の痛みに耐え、しんどい長旅をしてきたのも、全てこの為だったはずなのに、最後の最後で躊躇してしまう。旅が終り、その次はもう、何もない自分が怖い。
強がりの下の悲しみが垣間見えた時、思わず画面越しのお爺さんを抱きしめたくなりました。

戦争は嫌ですね。否応なしに、暴力的に根こそぎ奪い、破壊されてしまう。(アブラハムの妹がまた、可愛過ぎて...)
...でも、長い人類の歴史の中で、戦争が全くない時代なんて多分無いし(歴史詳しくないです。)ミクロな視点で見れば自分だって日々、誰かに対する加害者であり被害者なんだよな。せめてその事を自覚して生きて行かねばな。。

...などと色々考えさせられる、いい映画でした。
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