静かな友人を配信している動画配信サービス

『静かな友人』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

静かな友人
動画配信は2026年9月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『静かな友人』に投稿された感想・評価

[かつてシモン・マグスが用いた神秘を拡張する] 90点

大傑作。2025年ヴェネツィア映画祭コンペティション部門選出作品。昨年の東京国際映画祭の審査員長にトニー・レオンが、審査員にエニェディ・イルディコーが来ていたので、てっきり日本での撮影でもあったのかと思っていたが、全くそんなことはなかった。物語はドイツのとある学園都市(マールブルク大学と思われる)とその敷地内に生えている立派なイチョウの大木を中心に、三つの時代の三人の人物の目から交互に語られていく。1908年、大学に初めて入学を希望する女学生の一人グレテは屈辱的な入学試験をたった一人合格し、晴れて大学生となった。あるとき、下宿先の家を追い出された彼女は、写真館の住み込みアシスタントの職を見つけ出す。1972年、孤独な青年ハンネスはひなたぼっこをしていると、グンドゥラに実験に誘われる。それは自身の育てるゲラニウムと意思疎通を図るための言語を解き明かすことだった。2020年、大学に赴任した香港出身の神経学者ウォンは、コロナ禍のロックダウンにて閉鎖された大学にたった一人残り、研究を続けていた。ある日、意志疎通の図れない相手との会話の研究として植物との対話をテーマにしてるTEDトークを聴いたウォンは、プレゼンターのアリスと共にイチョウの木の言語を探り始める云々。植物との対話と聞いて最初に思い出すのは『シモン・マグス』にてシモンが殺人事件の捜査に協力した際、観葉植物に犯人を訊いて解決したシーンである。人知れず、それでいて確かに存在するものである"神秘"を体現するシモンが、あまりにも自然に植物の"声"を聴いたことで、事件の挿話はそのままさっさと退場していく。同作において科学は失われた神秘の対極として扱われ、終盤では科学を駆使する相手と土の中に埋められて生き延びる勝負をすることになる。本作品ではそれらの立場を融合させたような、神秘に科学で挑む話だ。そして、アリスが"植物が反応を見せないように見えるのは人間の時間感覚で計測しているからだ"と言っていたように、学園都市の100年を木の時間感覚で捉えているのが本作品と言える。また、ウォンが赤ちゃんの認知方法について"ランタン的"というのは、かつて映画が"ラテルナ・マギカ"と呼ばれたことと関連しているのかもしれない。

意思疎通が出来ない相手との会話、というテーマは女性差別や外国人差別とも関わってくる。グレテは写真館を訪れるが、店主の老人は女は写真の原理など理解できないのでアシスタントには出来ないと思っていた。ウォンがイチョウの木に電極を貼って連日実験を行っているのを、ドイツ人の施設管理人アントンは理解できなかった。しかし辛抱強く対話の意思を示し続けることで氷解し、互いの力を使って新たなステージにステップアップするような(それこそが科学の辿ってきた道である)、そしてそれが少しだけ次の時代の挿話に受け継がれていき、ウォンの次の時代まで予感させるような、希望的な帰結になっていた。過去作のようなマジカルさはなく、三つの挿話が有機的に結合したり、劇的な結末を迎えることもないのは少々残念な部分ではあるが、かつて世紀末にシモン・マグスが復活させた"神秘"が、対話可能性へと拡張されて未来への橋渡しをするというのには目頭が熱くなった。シモン・マグスに出来た奇跡が私たちにも出来る、それは一見対話不可能に見える相手と対話出来るということだ、と。

ちなみに、DPはロイ・アンダーソン近作を撮ったGergely Pálosである。人間の所作を観察するように、枝や葉の所作を官能的に観察するショットが多く含まれていたのが印象的だった。
自然科学と映画の融合!
ドイツにある学園都市マールブルクの植物園に佇む、大きなイチョウの木を軸に、約1世紀にわたる時間の中で変化する人間社会と、変わらぬ姿で佇む植物との対話が三世代を通して描かれる。その中は、植物の持つ意識・知性」や 「植物と人間のつながり」 をめぐる研究が描かれる。

この三世代の描き方の組み合わせ方が巧みで音楽で繋ぐショットになぜかなけた。孤独な研究も全てが繋がるとはまさにこのこと。血が通った作品といえよう。

ただのフィクションになりがちな超科学を扱いながらも、アート作品となりえたのは、トニーレオンを主演とした事が成功したように見えた。個人的には王家衛の「欲望の翼」の如く、展開される複数のドラマをまとめあげるパーツとなるだけでなく、その佇まいこそに、魅力があると個人的には思う。

余談だが、本作のもうひとつの主役イチョウの木をみていて、私が通っていた大学の中で発見された古墳を思い出した。コロナ禍でバラバラになりかけた色んな繋がりを思い出す作品になった。
sonozy
4.0
『心と体と』『私の20世紀』などのハンガリーの女性監督イルディコー・エニェディの新作。

ドイツのマールブルクの大学の敷地内に立つ一本の大きなイチョウの木は1832年から人々を見守ってきた。
この地を舞台に、三つの時代が映像の質感も変えながら交錯する物語。

1908年(35mmモノクロ): 大学初の女子学生として入学したグレーテ(ルナ・ヴェドラー)
1972年(16mmカラー): 農村出身の内気な男子学生ハンネス(エンツォ・ブルム)
2020年(デジタル撮影): 香港から大学にやって来た神経科学者トニー(トニー・レオン)
※トニー・レオンのパートに出番少なめなレア・セドゥはやや勿体ない感じも。

原題『Stille Freundin』=(独)静かな女友達
→三つの時代を見守る“静かな目撃者”であるイチョウの木(雌株)

植物と人間の関係を描いたユニークな作品で、3つの物語それぞれ興味深いのですが、それらが有機的につながってない感じなのがやや残念。

特に、グレーテを演じたルナ・ヴェドラー(ヴェネツィア映画祭新人俳優賞)が良い。
神秘性とエロティシズムも漂う植物の神秘的な映像も効いてます。
※日本の科学映像作品『THE SEA IN THE SEED(種子の中の海 イチョウの精子と植物の生殖進化)』からも使われているそうです。

『静かな友人』に似ている作品