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Silent Friend(原題)
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『Silent Friend(原題)』に投稿された感想・評価

[かつてシモン・マグスが用いた神秘を拡張する] 90点

大傑作。2025年ヴェネツィア映画祭コンペティション部門選出作品。昨年の東京国際映画祭の審査員長にトニー・レオンが、審査員にエニェディ・イルディコーが来ていたので、てっきり日本での撮影でもあったのかと思っていたが、全くそんなことはなかった。物語はドイツのとある学園都市(マールブルク大学と思われる)とその敷地内に生えている立派なイチョウの大木を中心に、三つの時代の三人の人物の目から交互に語られていく。1908年、大学に初めて入学を希望する女学生の一人グレテは屈辱的な入学試験をたった一人合格し、晴れて大学生となった。あるとき、下宿先の家を追い出された彼女は、写真館の住み込みアシスタントの職を見つけ出す。1972年、孤独な青年ハンネスはひなたぼっこをしていると、グンドゥラに実験に誘われる。それは自身の育てるゲラニウムと意思疎通を図るための言語を解き明かすことだった。2020年、大学に赴任した香港出身の神経学者ウォンは、コロナ禍のロックダウンにて閉鎖された大学にたった一人残り、研究を続けていた。ある日、意志疎通の図れない相手との会話の研究として植物との対話をテーマにしてるTEDトークを聴いたウォンは、プレゼンターのアリスと共にイチョウの木の言語を探り始める云々。植物との対話と聞いて最初に思い出すのは『シモン・マグス』にてシモンが殺人事件の捜査に協力した際、観葉植物に犯人を訊いて解決したシーンである。人知れず、それでいて確かに存在するものである"神秘"を体現するシモンが、あまりにも自然に植物の"声"を聴いたことで、事件の挿話はそのままさっさと退場していく。同作において科学は失われた神秘の対極として扱われ、終盤では科学を駆使する相手と土の中に埋められて生き延びる勝負をすることになる。本作品ではそれらの立場を融合させたような、神秘に科学で挑む話だ。そして、アリスが"植物が反応を見せないように見えるのは人間の時間感覚で計測しているからだ"と言っていたように、学園都市の100年を木の時間感覚で捉えているのが本作品と言える。また、ウォンが赤ちゃんの認知方法について"ランタン的"というのは、かつて映画が"ラテルナ・マギカ"と呼ばれたことと関連しているのかもしれない。

意思疎通が出来ない相手との会話、というテーマは女性差別や外国人差別とも関わってくる。グレテは写真館を訪れるが、店主の老人は女は写真の原理など理解できないのでアシスタントには出来ないと思っていた。ウォンがイチョウの木に電極を貼って連日実験を行っているのを、ドイツ人の施設管理人アントンは理解できなかった。しかし辛抱強く対話の意思を示し続けることで氷解し、互いの力を使って新たなステージにステップアップするような(それこそが科学の辿ってきた道である)、そしてそれが少しだけ次の時代の挿話に受け継がれていき、ウォンの次の時代まで予感させるような、希望的な帰結になっていた。過去作のようなマジカルさはなく、三つの挿話が有機的に結合したり、劇的な結末を迎えることもないのは少々残念な部分ではあるが、かつて世紀末にシモン・マグスが復活させた"神秘"が、対話可能性へと拡張されて未来への橋渡しをするというのには目頭が熱くなった。シモン・マグスに出来た奇跡が私たちにも出来る、それは一見対話不可能に見える相手と対話出来るということだ、と。

ちなみに、DPはロイ・アンダーソン近作を撮ったGergely Pálosである。人間の所作を観察するように、枝や葉の所作を官能的に観察するショットが多く含まれていたのが印象的だった。