旅するランナー

星を追う子どもの旅するランナーのレビュー・感想・評価

星を追う子ども(2011年製作の映画)
3.8
【祝福と呪詛】

地下世界アガルタ。
古事記におけるイザナギイザナミの黄泉の国伝説。
あの世とこの世、彼岸と此岸とのあいだの距離。
など、オカルト趣味はいかにも新海誠ワールド。
それでもやはり風景描写は美しく、これにRADWIMPSの曲がガンガン流れれば、最近の作品と引けを取らない出来栄えです。

「喪失を抱えて、なお生きろと聞こえた。それが人に与えられた呪いだ」
「でもきっと、それは、祝福でもあるんだと思う」
喪失という呪詛、その先の祝福。

祝いと呪いは字が似ているのに気付きました。
「祝」は、祭壇の前で祈りを捧げる神職者を象形した文字。
「示(しめすへん)」は神や祭りに関することを、「兄」は人がひざまづいた様子を表す。
「呪」も、もともとは「祝」と同じく人が神前で祈りのことばを唱える様子を表していた。
「口(くちへん)」は、口から発せられる祝詞(のりと)を意味するとのこと。
別れを乗り越えることの尊さを描く佳作です、と口から発しときます。