櫻イミト

ナサリンの櫻イミトのレビュー・感想・評価

ナサリン(1958年製作の映画)
3.5
タルコフスキー監督がオールタイムベスト10の1本として挙げている作品。真の信仰を追い求める神父ナサリンが不信心な周囲の中で挫折していく様を描く。設定はブレッソン監督の「田舎司祭の日記」(1950)と似ているが、主人公の性格は正反対で作品テーマも異なっている。信仰というテーマはブニュエル監督が後に何度も取り上げていくことになり、本作がその原点と言える。後発作品ほどブラックさが目立たず真摯に描いているため、監督の宗教に対する一貫したスタンスがわかりやすく伝わってきた。ナサリンが新たなことを悟るラストも珍しく(!)前向きと言える。

※ブニュエル監督インタビュー
「この映画の主人公を私は好きだ。私が彼に興味を抱くのは、彼が自分の思想に固執している点である。」
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