ヴェルヴェっちょ

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊のヴェルヴェっちょのネタバレレビュー・内容・結末

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

押井守監督の名を世界に知らしめた伝説的作品。画作りからストーリー、キャラクター造形、背景にある哲学に至るまで、傑出しています。

西暦2029年…企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても、国家や民族が消えてなくなるほど情報化されていない近未来。
電脳化やサイボーグ(義体化)の技術が飛躍的に進み、社会経済構造を一変させた反面、犯罪やテロは凶悪・複雑化を極めていた。
テロなどの犯罪を未然に防ぐ、内務省直属の攻性組織「公安9課」(攻殻機動隊)に所属する草薙素子(通称「少佐」)は、機密プログラムに関わったとされる認定プログラマー・台田瑞穂の他国への亡命を手引きしようとした某国外交官を暗殺する任務を遂行し、亡命を未然に阻止する。 後日、外務大臣の通訳が電脳をハッキングされる事件が起き、他人の電脳をゴーストハックして人形のように操る国際手配中の凄腕ハッカー「人形使い」の犯行である可能性が浮上。素子、バトー、トグサを始めとする公安9課は捜査を開始するが、容疑をかけられ逮捕された人物はいずれもゴーストハックを受けて操られた“人形”に過ぎなかった…。

士郎正宗による原作漫画に見られる楽観的なユーモアは本作にはなく、シリアス。否、メランコリックとさえ感じさせられます。
電脳化、義体化が飛躍的に進んだ結果、人間と機械の境界は疑わしくなり、「人間とは何か」「何をもって『私』といえるのか」という憂鬱な問いが浮上する。 実際、脳以外のほとんどを義体化した主人公・草薙素子は、自分の存在すら疑っている。 そしてラストで投げかけられる根源的な問い。私たちはどこに向かっているのか…。