けんざ

キツツキと雨のけんざのレビュー・感想・評価

キツツキと雨(2011年製作の映画)
3.6
山で林業を営む不器用な男と、ロケに訪れた新人映画監督が、撮影を通じて心を通わせ合っていく。

「いきなり知らないおじさんに絡まれて困惑するけど、話しているうちに気さくな人物像が見えてきてこちらも朗らかな気分になる」という体験をしたことがある人は多いだろう。役所広司演じる岸はまさにそんなキャラクターで、ザ・今時の若者とも言える田辺も最初はまともにコミュニケーションを取れず萎縮してばかりなのだが、次第に岸に絆されて自信を身につけていく。知らないおじさんが持つデリカシーの無さが口下手の気を楽にすることだってあるのだ。

あと、よく番宣に来た俳優が答えている「撮影中の雰囲気はどうだったか」という質問、当然ではあるけど作品の出来を左右する重要な要素なんだなと思った。監督、スタッフ、俳優、エキストラに至るまで、少しの心の機微がパフォーマンスにそのまま反映されてしまうのって結構怖い。様々な作品に引っ張りだこの人気役者は、演技力だけでなくモチベーターとしての能力も優れているのだろう。

林業を扱った映画を観るのは『WOOD JOB!』に引き続き2回目で、両方とも面白かったし心温まる話だった。今後も林業に注目。
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