しゅう

マデリーン 愛の旅路のしゅうのレビュー・感想・評価

マデリーン 愛の旅路(1950年製作の映画)
3.5
デヴィッド・リーンの評価が不当に低いのはヨーロッパの批評家連中あたりの影響力もあるが、彼が後年作っていた大スペクタクル映画が冗長で大味なものが多いのも原因と思える。
モノクロ時代の初期作には狭い世界を描いてはいるが小粒ながら優れた作品揃いでリーン監督の真価はコチラだと思う。

今作は実際の事件を映画化しているが、恋愛描写からサスペンス描写への転換、そして最後の裁判劇へと構成も見事であり、自宅の地下にある寝室や裁判所へ昇る階段等の舞台装置も効果を高めている。
結末は肩透かしな感じもするが、アン・トッドの表情に冷笑が僅かに浮かぶラストは謎めいていて余韻が残る。
彼女は当時まだリーン夫人だったと記憶するが、冷たい感じのするパーソナリティを見事に生かした好演である。
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