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ミニー&モスコウィッツのmareのレビュー・感想・評価

ミニー&モスコウィッツ(1971年製作の映画)
4.5
こんな人間日常的にいる訳がないのだが、人間の面白さというものをギリギリまで引き出し、信じてみたくさせる力がカサヴェテス映画にはある。その中でも特筆してこの作品のパワーは異常であり、シーモアのメチャクチャっぷりが堪能できる。正反対の男女が受容と拒絶を積み重ねながら、互いの心の隙間にはどこかで愛を求めているのは確かで、ひたすら不器用なのを自覚しながら何となく共存していく。唐突なトラブルと脈絡を無視した会話の流れ、方向転換する喜怒哀楽など、共感する間も整合性もないはずなのに、最高に面白く人間臭いドラマになってしまうのだから驚愕する。最初から破綻していて、道中でも衝突があり、噛み合わないやり取りがどこかの一瞬で完璧にマッチする瞬間が訪れる。そんな支離滅裂な人間模様を見せてくれるから観れば観るほどカサヴェテスは面白く興味深い。
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