YasujiOshiba

ゴッドファーザーのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
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備忘のために

- そうか、イタリア語を勉強するようになってから、この映画は見直したことがなかったのかもしれない。けっこうシチリア訛りがわかるようになっていたのは嬉しかったな。

- おどろいたのは、シチリアのエピソードで、ミケーレの護衛をしていたのがパゾリーニが見出したフランコ・チッティだってこと。チッティが演じるのは現地のボスの右腕で寡黙な男 Calò だけど、ローマ人のボルガターロだからだろうか、実にはまっていた。

- その相棒ファブリーツィオを演じるのはアンジェロ・インファンティで、なかなか味のあるいい男ぶりなのだけど、こいつはよく喋る。よく喋る奴はたいてい裏切りもの。実際、その裏切りのために、ミケーレが一目惚れして射止めたアポッロニーア(シモネッタ・ステファネッリ)は、あの美しいフォルムのアルファ・ロメオ6c2500もろとも、吹き飛ばされてしまうわけだ。

- そういえば、むかし英文学のある先生に聞かれたっけ。「ヴァ・ファン・クー... とか言っているらしいのですけども、多分イタリア語ですよね」というのだけれど、もちろんそのとおり。イタリア特有のホモフォビックな表現なんだよね。

- それにしても、みごとな脚本。結婚式、洗礼式、そして葬式。ハレのセレモニーの背後に蠢く男たちのリアル・ポリティーク。どんな優しさも飲み込んでしまうドス黒い闇が、ダイアン・キートンのまだ無垢な眼差しの向こうに立ち上がるラストシーンは、何度見てもしびれる。どんなホラー映画もこの怖さにはかなわない。
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