こういう映画は好きですね。
物語を語らずに、
風景や情景を切り出して、それを重ねていくことで
静かに感じさせるような映画ですね。
終始雑然とした生活空間の景色と、けだるい空気なのですが、
その中で「くらげ」と、脈絡のない鬱屈の暴発がアクセントになってる感じです。
おしぼり工場の上司が、寿司を片手に部屋に乗り込んできて、
ビール飲みながら浅野とオダギリに語るシーンがあります。
自分が若者のころは、みんな目的を持って生きていた。
それが何だったかは忘れた。本当に忘れちゃった。
たぶん今考えるとばかみたいなこと。
でもそれが若さってやつなんじゃないの?
というような話をします。
おせっかいな上司の鬱陶しい説教じみた語りという形をとっていますが、
結構この映画の核心部のような気がします。
社会が共有する物語が無くなった時代を表現することが、
この映画の目的だとすれば、
映画そのものの物語は邪魔にしかなりませんからね。
だめ押しで、おしぼりのおっさんが、
卓球の試合をTVで見ながら、ニッポン、チャチャチャッ!と始めます。
空気の錆び付き具合に思わず笑ってしまいます。